「山下駅の移動の件は、これ以上追求しない」
「なぜ?」
「資料がこちらには十分に無いからだ」
「では話はこれでおしまい?」
「いいや。実は派生的にとんでもない話題につながった」
「それはなんだい?」
「2009年の話題で、あまりにも未知すぎるので触れることも十分にできなかった話題につながった」
「ここにこう書いた」
玉電関係で「前田、下高井戸間仮線敷設の件」といった文書は、前田がどこか気になります。
「これがどうした?」
「国立公文書館デジタルアーカイブを検索すると【前田、下高井戸間仮線敷設の件】という文書が存在することが分かる。しかし、前田がどこなのか想像もできずに、手を付けることすらできなかった」
「それで?」
「今回、きむらさんの調査で、山下北方に本来できるはずだった駅の名前が前田だと分かった。書類上は存在している。実際には前田が建設されずに、より南方に山下が建設された。そのような経緯になる。従って、仮線を敷設する段階ではまだ前田の計画が生きていて、山下ではなく前田が駅予定地だったと考えられる」
残された疑問 §
「しかし疑問も残る」
「なんだい?」
「以下の2つの文書の時系列が微妙なのだ」
- 世田谷線〔上町(旧名世田谷)/下高井戸〕間電気軌道新設工事ノ中一部工事方法変更認可申請(前田から山下への変更申請) 大正14年1月26日
- 前田、下高井戸間仮線敷設の件 大正14年04月10日
「山下への変更申請後に前田という名前を使っているね」
「これには以下の3つの可能性があり得る」
- 申請はあくまで申請。認可は4月10日以降である
- 前田を前提に線路を敷設しているので、既に駅にならないとしてもそこを起点に仮線を敷設した
- 何かの手違いor間違い
「どれだと思う?」
「さあ」